ネット広告を運用する上で知っておきたいのが、導入にあたってのリスク面です。
「ネット広告」と一言で言っても色々な種類の広告がありますが、今回はクリック報酬型の広告についてのお話をしていきます。
その中でも、
- オーバーレイ広告
- ワイプ広告
- インタースティシャル広告
この2つは、他の広告に比べると若干リスクが高めといえます。
そこで実際にどのような懸念点があるのかや、過去に起きてしまったトラブルなどについてご紹介します。
知識として知っていれば導入するかどうかの判断材料になりますので、ぜひ最後までご覧ください。
オーバーレイ広告(&ワイプ広告)について
どんな広告?
まずは、オーバーレイ広告についてです。
こちらは、主にスマホでサイト表示した際に画面の下部(もしくは上部)に固定されて表示される広告のこと。
以下のような広告です。
これは、縦100px(ピクセル)サイズの少し幅広な広告の掲載例になります。
アドセンスの「アンカー広告」に似たタイプの広告ですね。
「オーバーレイ広告を設置したいけど、縦幅が広いのが気になる…」
そんな方は、幅が狭いタイプの広告(50pxサイズ)を設置していかれるといいでしょう。
また、オーバーレイ広告の一種で「ワイプ広告」というものがあります。
こちらの掲載イメージは、以下のようなものです。
ワイプ広告もオーバーレイ広告の一種となりますので、リスクについては以下の「オーバーレイ広告」の箇所をご参照ください。
オーバーレイ広告の導入リスク
こちらの広告を導入するリスクは、主に3つ。
- ユーザビリティの低下リスク
- SEOへの影響
- アドセンスの数値に影響が出るリスク
ユーザビリティの低下リスクとは、わかりやすく言うと「広告が鬱陶しくて本文が読みづらい…!」ということ。
オーバーレイ広告は、ユーザーが記事コンテンツを閲覧中、常に表示されている状態です。
そのため、人によっては見づらいと感じ、直帰率が上がってしまう可能性があります。
広告導入前後で、アナリティクスの「平均セッション時間」「直帰率」「ユーザーあたりのセッション数」に変化がないかを確認されるといいでしょう。
また、それによりSEO面に影響が出るリスクもあります。
実際、過去のGoogleコアアップデート時に、オーバーレイ広告を導入しているサイトの評価が下がってしまったことがありました。
この時は大手ニュースサイトを対象に行われた調査だったこともあり、個人ブログではこのような影響は確認されていません。
基本的にGoogleは、ユーザーファースト掲げています。
そのため、ユーザーにとって見づらい・読みにくい広告を設置しているサイトの評価を下げてもおかしくはありません。
上で書いたように、2022年9月現在「個人ブログ」においてこのようなケースはありませんが、今後可能性としてはゼロではないでしょう。
そして、コンサル生さんで実際にあったのが3つ目の「アドセンスの数値に影響が出てしまった」というケース。
オーバーレイ広告を設置するということは、本来アドセンスに流れるはずだったクリックが、そちらに流れしまうことになります。
そうすると、アドセンス側の収益性が下がってしまうのです。
ただしこのケースについては、実は「特定の広告を使った場合のみ」に確認されています。
オーバーレイ広告を提供する会社は多くあり、アドセンスへの影響はほぼ出ていないものの、その一社については数名の方からRPM下落のご報告がありました。
※企業さまの不利益とならないよう会社名の公表は差し控えます
そのため、オーバーレイ広告を入れられる場合は、アドセンスの数値(特にクリック率)に影響が出ていないのかを見ていかれると安心でしょう。
インスタースティシャル広告について
次に、インタースティシャル広告についてご説明していきます。
どんな広告?
そもそもインタースティシャル(Interstitials)とは、「中間部の」という意味。
ページ遷移時に全画面に表示される広告のことを、インタースティシャル広告といいます。
「×ボタン」を押さないと記事コンテンツが表示されないことから、こちらもオーバーレイ広告と並んで非常に鬱陶しい広告といえるでしょう。笑
アドセンスの「全画面広告」に似たタイプの広告ですね。
インタースティシャル広告の導入リスク
この広告の導入リスクについても、3つです。
- ユーザビリティの低下リスク
- SEOへの影響
- PV数の減少
①②については、基本的にオーバーレイ広告と考え方は同じです。
過度に広告を露出すると、Googleからの評価下落に繋がる可能性があります。
注目すべきなのは、③のPV数の減少について。
こちらは実際にお取引のある広告会社の担当者から聞いた話ですが、インタースティシャル広告を導入したメディア側から、
広告を入れてからPV数が減少しているように感じる
そんな報告があったとのこと。
SEOへの影響が出てしまったためか原因までは定かでありませんが、広告を入れたことでアクセス数が減ってしまったようです。
そのため、一旦広告の配信比率を30%まで下げ、PVが戻るかを確認。
これまでは画面遷移時、常に広告を出していたところを、10回中3回に。
そうするとアクセスが戻ってきたため、その後50%で運用しているということです。(そのサイトでは50%では影響が出なかったとのこと)
こちらはコンサル生さんの事例ではなく、あくまで広告会社の方の話です。
※コンサル生さんやコンサルタント仲間など、身近ではこのような事例は確認されていません。(2022年9月現在)
しかしインタースティシャル広告のリスクの一つとして、知っておくに越したことはないでしょう。
ネット広告におけるリスクとリターンの関係
オーバーレイ広告やインタースティシャル広告は、正直非常に収益性がいいです。
どの会社の広告を利用するかにもよりますが、収益性が高い広告を採用すれば、アドセンス単体時と比べて収益性を2倍にすることも夢ではないでしょう。
反面、上のようなリスクも伴います。
これは、ネット広告(主にクリック報酬型)を運用される方に知っておいてほしいのですが、
広告の世界では、リスクとリターンは振り子の関係
にあります。
収益性の高い広告を採用する場合、それなりのリスクが伴うものです。(ハイリスク・ハイリターン型)
画面にデカデカと広告を表示させた方がユーザーの目に留まりやすく、当然クリックが出やすい傾向にあります。
ユーザビリティを著しく損ねるような広告の方が、収益性が高くなりやすいということですね。
一方で、低リスクな広告は収益性が低いです。(ローリスク・ローリターン型)
- さりげなく記事内に設置している広告
- ユーザーの目に留まりにくい小さな広告
などは、クリックされづらいことから収益が出づらく、その分ユーザビリティを損ねることも、SEOへの影響もほぼ懸念する必要はありません。
どちらが良い・悪いというのではなく、大切なのはメディア運営者それぞれが正しくリスクを知った上で、
どこまでリスクを許容して、どこまで収益性を上げていくのか?
これを、個々人が考えていくことです。
何が正しくて何が正しくないということではありませんので、メディア運営者個人のスタンスで導入する広告を決定していかれるといいでしょう。
あとがき
オーバーレイ広告とインタースティシャル広告の導入リスクについてでした。
ユーザビリティの低下リスクやSEOへの影響など、正しくリスクを理解した上で導入の有無を検討してみてください。
また、リスクとリターンが振り子の関係であるというのは、これらの広告を運用する場合も同様です。
オーバーレイ広告の場合、100pxサイズより50pxの方が露出が低いため、低リスクな反面収益性は低いです。
また、インタースティシャル広告についても、配信比率を100%にするより30~50%に制限する方が低リスク。
反面、収益は出づらくなります。
これらを踏まえて、どのようなスタンスで運営していかれるかについて検討してみてくださいね。
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