高野苺先生の大人気コミック『orange(オレンジ)』。
過去の自分に手紙を送り、自ら命を絶ってしまった友人を救うというSF青春ラブストーリーです。
後悔に苛まれている10年後の自分から届いた手紙をもとに、主人公の高校生たちが未来を変えるために奮闘する様子が描かれています。
私自身orangeの大ファンなのですが、タイトルの”orange”にどういう意味があるのか、気になる方も多いようです。
漫画の名前の由来や、作者が伝えたかった3つのメッセージをご紹介いたします。
※本記事の内容はネタバレを含みます。
orange(漫画)のタイトルの意味は?
タイトルの意味は、弘法山から見える夕日で照らされたオレンジ色に染まる空や街や桜を表してます。
翔を救えなかった未来(10年後)に、翔が自ら命を絶ったことを知った5人。
後悔の念とともに、弘法山から涙を浮かべながら夕日を眺めます。
翔を救えたかもしれないと思った5人は、過去を変えるべく10年前の自分たちに手紙を送ることを決意。
菜穂は自分に送る手紙とともに翔への手紙も同封しており、そこに「一緒にこの夕日を見たい」と記しているのです。
26歳の春、4月23日。
弘法山の桜を一緒に見ませんか?この日の夕日がとれもきれいで、弘法山から見えるオレンジ色に染まる空や街や桜を翔と一緒に見たいです。
みんなで、待っています。
その手紙を受け取った菜穂は、翔を救うべく友人たちとともに奮闘し、翔は自殺を思い留まります。
10年後、菜穂と結婚した翔は、皆と一緒に弘法山から夕日を見ることができたのです。
(出典:orange6巻より)
orange(漫画)で作者が伝えたかった3つのメッセージ
この漫画を通して、作者が伝えたかったメッセージは3つ。
インタビューやコミックの挨拶文などをご紹介しながら、高野苺先生の思いをご紹介いたします。
”後悔しないように生きる”ということ
orangeで何度も繰り返し描かれるのが、「後悔」の思いです。
翔の気持ちを理解できなかった後悔、翔の思いにより添えなかった後悔、翔を救えなかった後悔…。
この後悔は、高野先生自身が感じていた気持ちのようです。
『夢みる太陽』を描いている最中に、飼っていた犬が死んでしまったんです。まだ8歳だったので、まさか死んでしまうとは思っていなくて。もっと大切にしてあげられたんじゃないかと、今でも後悔しています。やり直したいけど、やり直せない。そういう気持ちを経験した後に描いたのが、『orange』なんです。
(引用:『orange』高野苺インタビュー)
どんなにやり直したいと思っても、過去はやり直せない。
だからこそ、今を全力で生きて後悔しない選択をしてほしい、そんな作者の思いがorangeに込められています。
〝翔のような人がいたら助けてあげてほしい〞
身近に翔のような人がいたら、手を差し伸べてほしいと高野先生はいいます。
大切な人を失わないように、声をかけたり、励ましたり。
6巻最後に書かれている、読者へのメッセージです。
「心が傷ついた人がいたら、気づいて救ってほしい」
けど、ひと言声をかけただけで、もう平気とは思わないで、深く傷ついた心を救うのは時間がかかる事を、この作品を通して伝えたかったです。
そして人から手を差し伸べてもらった時には、必ず感謝を伝え、その人を大切にすること。
そんな”人としてのあり方”を教えてくれる作品なのです。
人から救ってもらった時は必ず感謝を伝えて下さい。
どんな事でも、助けてくれる人は自分にとって大切な人です。
生きる目的
「自分は何のために生きているんだろう?」と考える事は、きっとたくさんの人が経験することでしょう。
高野先生はこの疑問に対して、
私は、人から感謝された時、自分の存在する意味を知る事ができるんじゃないかなと思います。
と答えられています。
どんな些細なことであっても、誰かを助けた時に返ってくる「ありがとう」という言葉。
この言葉の意味について、高野先生は素敵な解釈をされていたのでご紹介しますね。
人からお礼を言われる時、「あなたがいたから、私は救われた」とはなかなか言われないし、言う方も、そう伝えたくても少し言いづらい言葉です。
でも、それと同じ意味の言葉が「ありがとう」なんだと思います。
「ありがとう」=「あなたがいたから、私は救われた」
人からお礼を言われた時、「ありがとう」という言葉を目にした時、こういう意味なんだと思って下さい。
自分は何のために生きているのか、orangeという作品が一つの答えを示してくれています。
あとがき
高野苺先生による大人気コミック『orange』のタイトルの意味をご紹介しました。
作者のメッセージ性が強く感じられる作品で、私は大好きです。
orangeに出会った方が、後悔のない素敵な人生を歩めることを祈っております。
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